菜の花三昧
 
 春が来た。庭のクロッカスがいつの間にか咲き、チューリップの芽がぐんぐん伸びて、水仙は花盛り。子供達も
一つずつ進級して保育園と小学校に通う毎日がまた始まった。
 Nさんから「野沢菜の新芽を取りにおいで。もうすぐ
ジャガイモの植え付けで畑をつぶすからその前に取ってって。勿体ないからね。小刀もって、箱も持って来て。」と電話をいただいた。
秋の漬け物用の野沢菜の刈り残しが雪の下で冬を越し、
春と共に黄色い菜の花を咲かせようとして花芽を伸ばす。花が咲く前に太くて柔らかいその部分とつぼみをを食べるのだ。
お浸しに良し、ぴりっと辛い浅漬けに良し。青物に飢えた体がとても喜ぶ食材だ。
 早速子供を連れてお邪魔する。子供にもこの辺を手折ってと教えるのだが子の指の力では難しい。私は小刀を太い緑の茎にあてがって、小気味良い切れ味で刈り取って行く。秋のシャキシャキした力強い野沢菜が別の植物のように柔らかである。見る見るうちに籠がいっぱいになった。
 子供達は畑の主人がトラクターに荷台を引いて、畑に
堆肥を捲く作業に見入っていた。Nさんからいただいた、
りんごをシャツで磨いて渡すと美味しそうに頬張り始めた。私も腰を下ろす。広々とした畑が畝をなし林まで続く広々とした景色、草をねだるモーモーいう牛の声。
ここはいつ来ても気持ちのいい所だ。
 折角伸ばした新芽を切られた野沢菜はというと再度花を咲かせるべく新たな花芽を伸ばし、それをまた人間が刈って食し、けれど諦める事無く人間の隙を見計らって素早く花を咲かせる。菜の花畑に蝶の舞う日も遠くない。
 家に戻ると赤ん坊が行水出来る程の大鍋で菜を煮た。
おひたしには
「こーんなに太いのに、こーんなにやわらかい。」と言い
湯どうししただけの浅漬けは
「少し辛い。でももうちょっと食べたい。」と、どんぶり一つの菜っ葉が皆の胃袋に消えて行く。
ああ、冬の間に溜まった体の毒が消えて行く。
ありがたや。                                             ( by Yoshiko )
 
 
 
 
ヒメジオン日誌
2008年4月10日木曜日