スキー場の月2
 
 1時間も経った頃、父さんが戻った。ゴンドラの山頂駅より上のリフトに乗ると新雪が残っていた。最初は転んで真っ白になって喜んでいた姉も、何回か滑るうちに転ばなくなって、Mともう一回滑りに行った。と言う。姉も楽しんでいるんだと思ったら嬉しかった。
娘に冬に雪で遊ぶスキーの楽しさを伝えられたから、私はもうリタイアしてもいいなと思った。
 笑顔の姉とMが戻ったのは4時近くで、レストハウスの片付けが始まっていた。
「リュックを背負って山から下りて来たおじさん達が私達  
 を暫く見ていたよ。きっと、すごい根性のある親子だと 
 思っていたんだよ、私も根性のある娘を持っているみた
 いで楽しかった。」とMが言った。
「そりゃあ、北海道仕込みのテレマーカー、しかも女で。  
 滅多にいないよ。」と笑う。
 それから弟を連れての林道の下山が始まった。なだらかで林の中をくねくね進む道を、ご機嫌で滑る弟ではあったが、栂池の長いゴンドラ分を滑るのは遠い。
私達を山々が囲み、板が雪に擦れる音だけが響く。
時折聞こえるのは私達の声だけ。白馬岳に弱々しい光を
放つ太陽が沈み、辺りが淡いピンク色に染まると、正面の山並みの上に白く丸い月がポッカリと浮かんだ。
遠くにスノーモービルのエンジン音が聞こえ始め、最終の
パトロールが始まった事を告げる。
人が溢れていた山が夜を迎える。
 ようやく見覚えのある白樺の木を過ぎると、ゴンドラの麓駅に着いた。
「楽しかった。皆、ケガも無く元気に戻れて良かった!」と、Mが言った。                               (  by Yoshiko )
 
 
 
ヒメジオン日誌
2009年2月23日月曜日