今年も松本クラフトフェアに行って来た。陶芸、ガラス、木工、布、金属の作家達の作品が所狭しと並ぶ、
新緑のあがたの森公園の雰囲気は日本離れしていて、
ここち良い。何か特別見たいわけでも無く、
ただぶらりと散策するのだが、これが子供達は大嫌い。
知り合いにでも会おうものなら、父さん母さんの話は長くつまらない。
でも去年はちょっと違っていた。知り合いが木っ端工作のテントを張っていて、たくさんの親子が木っ端の作品づくりに興じていた。
「家にも木っ端はたくさんあるのに、何もここでお金を
払ってまでやらなくても。」
と、エントリーにお金が要るのを渋った母だったが、
娘の熱意に負けた。結果本人は大満足。自作の女の子を
大事そうに抱えて、その日の充実の証としていたっけ。
さて今年は参加出来る何かがあるかしら。と眺めると
信州大学の教育学部の学生が「鋳物作り」をやっていた。
これは子供達だけで参加するのはちょっと無理とすぐに悟った私たちは一度はそこを去るのだが、楽しそうな事に敏感な娘が感づき、結局父さんは弟、母さんは姉と分担をすることになった。
配られた小さな紙に絵を描く。予想通り姉はクマ、弟は消防車をためらい無く描く。それをそれぞれ親が形を整えデフォルメして、発砲スチロールに当てて鉄棒で穴をあけ写す。
後にこの棒を熱して溶かしつつカット。クマの目や鼻、
消防車のハシゴなんかを加える。
出来た形に細長い発砲スチロールをのりで貼る。これがアルミを流し込む時の湯口となるのだ。
次の砂場で型の湯口を上に缶に宙づりにすると、砂を
皆でかけて埋没させた。これで砂型が出来あがり。
アルミのプルリングを溶かしている炉にこれを持って
移動。 そして担当の人が湯口にドロドロのアルミを注ぎ入れてくれると発砲スチロールは解けて、その隙間にアルミが流れ込む荒手な手法だ。とても嫌な匂いがするのだが、今日だけは我慢する。
先行組の缶がひっくり返され、砂がふるいにかけられると形あるものが残り、それを係のお姉さんが女の子を
手伝ってカナバサミで掴んで、バケツの水に入れた。
するとジューと音をたてて湯気が出て、バケツの底に沈んで行った。
その行程を2人は並んで息する事も忘れたように見守っていた。
自分たちの番が来ると素早く軍手をし、缶の中身をまばたきもせず見定めると、カナバサミで素早く拾いバケツに
沈めた。もう持っても大丈夫。と渡されたクマと消防車の湯口をお姉さんとおおきなハサミでカットすると、言葉
少なに切り口のバリを磨く親を見守り、ようやくクマと
消防車を手にする。
「同じだ!」と姉が感動すると、行程を理解していない
弟は、
「父さんがハッポウスチロールをこんなに硬くしてくれ
た。すごい!」と、尊敬の眼差しで父を見つめたのだった。まさに彼にとって「父は錬金術師のごとし。」である。そして2人は今年も大満足だった。 ( by Yoshiko )