無垢の木の家具を作っている人でも、森の中に立つ木やその木肌を見てもはっきりと何の木か正確に言い当てることが出来るであろうか。かくいう私がそうである。削って板材になってしまえば解るのに。逆に、先日お会いした林業関係の方々は森の木のなまえを知り尽くしていたが、その木が板材になった状態をあまり知らないのだという。
案内してもらったのは、かつてのカラマツなどを植林していたが、自然に育ってきた広葉樹も多い針広混交林。木を目の前にして名前を教えてもらう。ナラ、クリは知っていても、ウリハダカエデ、ウワミズザクラ、ミズキ....家具材としてあまり使われない木の名前がどんどん出てくる。施業方針は「自然にさからわず、自然を上手に利用する。」という。たとえば雪などによって、倒れた木の後にポッカリと穴があき(ギャップ)そこに新しい木が育っていく。そんな場所は空が見える。広葉樹の森はとても明るかった。
今の森の広葉樹はまだまだ細く乾燥の問題もあり、テーブルなどにする材は少ないが、こんな森を大切にして行けば、何世代も使えるような家具が造られるような木が育つだろう。木の育て方も量産をやめて、質の良いもの、個性のあるものに向いている。家具の需要もそうあって欲しいものだ。
森の中でブナの木に残るクマの爪痕を幾つも見かけた。木に登って実を食べた跡だそうだ。クマも広葉樹の森が好きに違いない。