長野の善光寺の近くのカフェの2階でグループ展を行った。私も当番としてギャラリーで1日を過ごすことになった。秋晴れの澄んだ空気が窓から入るギャラリーには作家達の造ったチェストや椅子、ティーテーブルなんかが
さりげなく配されている。平日の午前中に訪ねてくれる人もいず、けれどここち良い長椅子で眠ってしまうわけにもいかず、ふと1人の作家のファイルを手にする。
自然の中で写されたその家具達は美しかった。ページをめくるうちに、奥様による「手づくりのある暮らし」というテーマで構成された写真と文章に,いつしか引き込まれていた。
ご主人はまだ家具作家になる以前、企業に勤めながら
自らログハウスを建てたのだそうだ。朝、出社前に木の皮をむき、休日に作業を進めた。
若い時から自分の夢を持ち、こつこつと築き上げて行く
人もいるのだなぁ。と驚きと共に少なからずの焦りを覚えた。そして自分たちを顧みた。20代の後半、蓄えたお金を全部持って海外を旅して歩き、使ってしまい日本に戻り
ゼロからスタートした。「ありときりぎりす」そんな話が思い浮かんだ。
次に続いた「手づくりの石釜」やそこで焼いた「手づくりのパン」などを読み進むうちに、ここがギャラリーである事も忘れ、入り込んでしまった。最後まで見終わって
現実に戻るとそこは相変わらず人気の無いギャラリー
だったという訳。
さて私達もかなり遅ればせながらではあるが、築き上げるような暮らしをして行きたいものだ。この日このギャラリーで過ごせた事は価値ある出来事だった。日常生活に
こんな刺激もたまには大切だと思うのである。
( by Yoshiko )