おなじみの農家のKさんから「小松菜大きくなりすぎちゃって。取りにおいで。」と電話をもらった。折しも夏の間ずーっと貯めていた木屑の入った袋が工房の至る所に積まれており、Kさんの牛の木屑小屋に空けに行こうと思っていた所だった。
仕事のバンの荷台にギューギュー詰めの木屑を私が息を切らして一袋づつ空けて行く横からKさんは「子牛にちょうだい」と両手に一つづつ袋を抱えて行ってしまうのだから日頃の鍛え方が違う。
スーパーの籠1つ分のほうれん草と、成長して野沢菜と見まごう程の太くて大きい小松菜を一抱えと、大根を間引いた菜を一抱えを空になったバンの後ろにずらっと並べて帰る。
家に着くとすぐ、今となってはじいちゃんの形見となった、「赤ん坊が行水出来る」程大きいボールとザルと鍋を納戸から出した。娘に洗うのを手伝ってもらって、
片っ端から種類ごとに茹でてタッパで冷蔵庫に入れれば
一安心。その日から3日間菜っ葉ざんまい。幸せな日々。
これまた、じいちゃんの残した山椒の木の巨大なスリコギを握った娘が、両足ですり鉢を挟むと器用にゴマを擦る。この技を仕込んだのはじいちゃんだったっけ。
ボール1つ分のほうれん草のごまあえがこども達の狂喜の声と共に消え、その姿、太さからは想像もできない程に柔らかい小松菜のお浸しを味わいながら、
「Kさんちの菜っ葉がこんなに美味しいのは父さんの木屑と
牛のうんちのおかげなんだよ。」と話すと、娘も
「牛のうんちのおかげなんだ。」と納得するのだが、弟だ
けが怪訝な顔をし
「うんちー?」と首を傾げた。
「父さんの木屑を牛の小屋に敷くでしょ、そして牛のうん
ちと一緒に畑に捲くとうんちは土に帰るんだよ。ちっと
も臭くないし、汚くないし、栄養があってこんなに
いい菜っ葉が出来るんだよ。」
と説明すると弟の顔がぱっと明るくなって
「牛のうんちのおかげ。おいしい、おいしい。」
とまたガブガブ食べはじめた。
木から出来た木屑は土にかえり、そこで出来た野菜をいただく。この大切な循環をこども達が身を以て知る事の
出来たことに、幸せを感じる。
( by Yoshiko )