「えーん えーん とーさん
うーが何にもしてないのに、かーさんバカって言ったー
えーん えーん」
お風呂の外から聞こえる声。
シャツを頭に引っ掛けたまま、入らない 入らないと
ジタバタしてふざけているから、
「入るでしょう。ばか。」と首までシャツを引き下げて
来ただけなのに。父さんに言いつけているのが、おかしくてかわいくって笑っていました。
「えーん えーん
うーが何にもしていないのに、かあさんバカって言ったー
かなしーーーー」
「うーが悲しいってさ!」と父さんの声。
それを聞いてお風呂の戸を開け、
「うー ごめんね。おいで」と呼ぶと、大粒の涙を頬に付けてやって来た。
「うー ごめんね。」湯船から濡れた手を出し、いつもの投げキッスをして、うーの手に渡した。うーは自分の小さい手を口に持って行くと、泣き止んで嬉しそうに笑った。
付き添うように横にいた姉が「困った子ね。」と言わんばかりに肩をすくめた。
「おやすみー かあさん またあしたー。」
ふたりがドンドン階段を登って行く音がした。
( by Yoshiko )