プリミィティブ
 
 泰木房の隣りに、木の持つあるがままのクセを残す作風の作家Kさんがいる。
近頃は泥だらけの竹の根を大量に洗っていたり、軽トラにやっと乗せれるほどのねじれた木の根元の部分を運んできたり。そして
「僕は原点に帰る。どこにもないボタンを創る。」との発言 。興をおぼえる。
彼の奥さんは麻やシルクの布から独特の異国風な服を創る作家だ。確実に人を選ぶこの服を、髪を束ねた細身なKさんが着ると、とても自然に似合う。
モデル兼スタッフとして奥さんと展示会に出かける事が多いこの頃だ。
 新緑のある日、外に木片を干す彼に声をかけた。
「これがボタンになるの?」
「そう。コンクリートミキサーに入れて研磨していたらサビに反応して黒くなってしまって、、、、」と話すうちに他のボタンも見せてくれた。
たくさんの様々な個性的なボタン。その中でもひと際目を引く木片ボタンを手に取った。一方方向に均一にラインが重なり波打つような模様、漆が怪しく光る。
「それは虫の食べた後。」とKさん。
「虫ってイモムシの事?げげげげげ、、、」
木に産みつけられた卵から生まれたイモムシ兄弟は互いの食べ物を奪う事なく放射状に木を食い進み、次第に成長を遂げて各々の道は太くなって行き、その放射状の円の軌跡は拡大する。
決して隣りのスペースに入り込む事はなく。
ボタンの模様の魅力とそれを創ったイモムシを想像するだけでぞぞっとする。
「こうゆうしつこいくらいのパターンの繰り返しってオーストラリアの原住民アボリジニーのアートとかに通じるものがある。」といつの間にか夫が横にいた。
「そうなんだよ。こうゆうのってジャンベのリズムにも通じるものがあるでしょ?」とYさんに急に振られる。
「そう、同じリズムの繰り返しなのにそのまま引きずり込まれるような、、、、」
「今、僕はボタン作りがその境地なんだよ。」
そこから話はアウトサイダーアートの深田真一さんに、同じ映像を見たらしくすごく魅かれるのは何故だろうと盛上がる。
プリミティブなものに魅せられてしまうのは、太古から現代に脈々と続く、人間のDNAの記憶のせいかも知れない。
               (  by Yoshiko )
 
 
 
 
ヒメジオン日誌
2010年6月20日日曜日